shinkato vs. the world

日記とかを不定期に書きます。

『恋人たち』

恋人たち』11/23(Mon)@黄金町ジャック&ベティ

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<スタッフ>

監督:橋口亮輔

原作:橋口亮輔

脚本:橋口亮輔

製作:井田寛,上野廣幸

企画:深田誠剛

プロデューサー:深田誠剛,小野仁史,平田陽亮,相川智
ラインプロデューサー:橋立聖史

撮影:上野彰吾

照明:赤津淳一

録音:小川武

美術:安宅紀史

音楽:明星

主題歌:明星

<キャスト>

篠原篤(篠塚アツシ)
成嶋瞳子(高橋瞳子)
池田良(四ノ宮)
光石研(藤田弘)
安藤玉恵(吉田晴美)
木野花(敬子)
黒田大輔(黒田大輔)
山中聡(聡)
内田慈(女子アナ)
山中崇(溝口)
リリー・フランキー(アツシの先輩)

 ★★★★★★★(10点)

鑑賞後、一番最初に気になったのは、タイトルの『恋人たち』と実際の物語の内容の繋がり。そもそも「恋人たち」という言葉は複数のカップルを言うのだろうか?それとも1組のカップルを「恋人たち」と言うのだろうか?ま、それはこの物語と関連がなさそうなので考えるのはやめるか・・・。とか思いながら公式サイトを観ていたら、「ストーリー」に書かれている最後の一文・・・

それぞれの“恋人たち”は、失ってはじめて「当たり前の日々」のかけがえのなさに気づいていく―― 。

 この物語には3人の主人公がいるが、そのそれぞれを「恋人たち」と呼んでいるように読み取れる。が、何か腑に落ちない。「恋人たち」という言葉が持つ瑞々しさだったり無垢な感じだったり。主人公たちにそれが無いわけではないが、彼らにスポットを当てたタイトルなら、『恋人たち』よりももっと適切なタイトルがあったのではないだろうか?

橋口亮輔監督はインタビューの中でこう話している。

3組の「恋人たち」の物語という設定はどこから出てきましたか?
『恋人たち』というタイトルは最初に決めていたものです。3人の人生を描くだけでなく、その周辺にいろいろな恋人たちの姿を織り込みながら、背景にいまの日本の空気が見えてくればいいなと思いました。

これを読んで腑に落ちました。タイトルと物語の繋がりを考えた時、僕が一番最初に浮かんだのは、アツシがあの時に見たあのじゃれあってるカップルでした。主人公たちの周辺に「恋人たち」を置くことで、この映画がより物語としてより鮮やかな色彩になってたと思います。また、恋人たちだけではなく、セリフの中だったり登場人物たちの仕事や置かれている状況で現在の社会で起きている問題だったりを自然な形で表現していて、それは、主人公たちが特別な存在ではなく、世界の中の一部であるつまり私たちのそばに、いや私たち自身であるかも知れないということを、観る側に潜在的に気付かせるようなそんな作りになっているんですよね。

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橋梁点検の仕事をして働くアツシ。天才的な耳を持ち、仕事でそれを発揮している。この見た目や形、彼は愛されキャラに成り得る存在なのですが、ある事件をキッカケに周りの人間に心を閉ざしてます。目の鋭さはその事件がキッカケとなって生まれたものでしょう。歳も近いし、やはり僕は彼に強く感情移入しました。

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弁当屋のパートをし、夫と姑と3人で暮らしている瞳子(トウコ)。まあとにかく普通の主婦の生々しさが素晴らしいです。有名女優では絶対出来ない演技をしてます。皇族マニア、こっそり少女漫画を描いてる、体に染みついた生活リズムに身を任せるように日々を過ごしてたが、ある日ほんのわずかな変化が訪れ「え?」っと思うほど彼女は流されて・・・みたいな本当にその辺にいそうな人なのですが、気づいたら彼女の行動に目が離せなくなってるっていう・・・。

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弁護士の四ノ宮。最も興味深い人物でした。一方から見たら悪魔のような男かもしれないけど・・・みたいな感じ。

 

ネタバレ無しで書くとこんな感じですか。事前情報無しで観た方が楽しめると思います。僕は『ふがいない僕は空を見た』、『そこのみにて光り輝く』を思い出しましたね。

そしてやっぱり、『恋人たち』というタイトルが醸し出すコントラスト。少し違いますが『ブルー・バレンタイン』を思い出しました。

ジャック&ベティでは、12/18までやってるみたいなので皆さん是非!