shinkato vs. the world

日記とかを不定期に書きます。

2015年に観た映画ランキング(10位~1位)

心奪われた10本です!

 

10位『はじまりのうた』

DVDで鑑賞。ステージ上の友人に引っ張られ、いやいやながら弾き語りすることになった彼女。客の反応は決して良くはない。が、その中の一人が彼女の可能性を見出す。このシーンのフレッシュさ、美しさは序盤でありながらクライマックス級で一気に作品に惹かれます。彼氏の新曲を聴いて浮気を見破るという恐ろしい離れ技(笑)からの絶望シーンだったり、「この街がスタジオだ!」からの街中レコーディングシーンだったり、お互いのプレイリストを1個のイヤフォンで聴きながら街を歩くシーンだったり、とにかくキーラ・ナイトレイが素晴らしいです。彼女のベストアクトであることは間違いないでしょう!『ピッチ・パーフェクト2』に続いてヘイリー・スタインフェルドちゃんの内気な少女がやるときゃやる演技も良いし、好きなところを挙げたらきりがない。いわゆる「負け犬たちのワンザゲン映画」やはりこれも超おすすめです!

 

9位『海街diary

ここ何年かの是枝作品は、無条件に期待だけを持ってスクリーンの座席に腰を下ろすことが出来、それに応えてくれるのは前提、どのくらい期待を越えてくれるかだけが未知数というくらいの信頼感と安定感がありますね。製作するにあたりネガティブな要素になり兼ねない、スター(過ぎる人)のキャスティングだったり、テレビ局出資の作品だったり、そして漫画の実写化だったり…それらを「壁」として乗り越えるのではなく、合気道のように作品のパワーとして取り入れているような映像は2015年の邦画の中でもトップクラスに必見なのですが、興行収入ランキングがこんな感じ(-.-)2015年もっとも美しいシーンはこの作品の中にありますよ!あそこのあのシーン!

鑑賞時の俺の感想

 

8位『セッション』

「痛快」って言葉を、字面で解釈すると「イタ気持ちいい」ってことですかね?だとすると、これはほんっと痛快ですよ。才能を持ち、その才能を自覚して受け入れ、逃げることなくストイックに大きな壁に立ち向かう、マイルズ・テラー演じるアンドリュー君は、とても好感が持てますね。あんなかわいい彼女を…バカじゃん!って思う節もありますが、いや、若さ故の過ち含めて魅力的です。そしてもう一つ、悪役(こう呼ぶに相応しい)フレッチャー先生が心底えげつないのが最高。ラストの切れ味は2015年ダントツでNO.1でしょう。いやー、俺の周りにも、すごいやなやつで、徹底的に打ち負かしたいっていう敵、現れないかなーと思いました(笑)いや、いるかもしれないな!

鑑賞後の俺の感想

 

7位『恋人たち』

例えば1ラウンドKO負けした元チャンピオンの中年ボクサーが奮起して返り咲く物語があるとすれば、それはわかりやすい「再生」の物語ですが、この作品を見て「再生」は、絶望を受け入れた時点から既にはじまっているものであり、大小あれど私たちの生活の中で頻繁に訪れていることなのかなと思いました。絶望は意識せざるを得ないが、「再生」は意識することが少ない。それを意識することで、何か良い方向に向かうのではないかとも思いました。という僕の感想ですが、この作品は多面的なので10人観たら10通りの感想があるでしょう。自分以外の感想を聞いてみたくなります。群像劇とはそういうものなんですね。映画はやはりいいものだなと思わせてくれましたよ。

鑑賞後の俺の感想

 

6位『ルック・オブ・サイレンス』

これは鑑賞後のブログ時一番がんばって調べたりしたので自分を甘やかして順位が高いですね(笑)。『アクト・オブ・キリング』と合わせてこのシリーズ2作は今まで観たドキュメンタリーと比較しても郡抜きでしたよ。たった50年前、インドネシアでそのとき何が起こったのかを「個」のレベルで浮彫りにさせた命がけのアイデアと撮影手法。全ての人に観てほしいです。

僕は本作のパンフレットにも寄稿している想田和弘監督作品が好きでドキュメンタリーに興味を持つようになりましたが、今年は想田監督の『牡蠣工場』がありますよ!超楽しみ!

鑑賞後の俺の感想

 

5位『野火』

これは順位とかそういう問題じゃないですね。漠然とではなく心底「戦争をしてはいけない」と思うことが必要に迫られている(こういう言い方になる事自体が戦争体験した国として情けないですよね)、日本人の目に触れるべき作品だと思いました。全国の高校で上映しても良いと思います。強烈なスプラッタ描写は言うまでもなしですが、塚本晋也監督自ら演じる男が戦争から帰ってきた後の生活のシーンは、今までの日本の戦争映画には無かったものであり、これこそがリアリティなのだなという「恐怖」を観る人に植え付ける正しい作品。ずっと忘れることは出来ないと思います。

鑑賞後の俺の感想

 

4位『フォックス・キャッチャー』

これはDVDで鑑賞しましたが、感想を書こうとしてなかなかまとまらずに結局更新できませんでした(-.-)普段の生活では他人のことを真剣に考える機会というのはなかなかあるもんじゃないですが、登場人物のことを真剣に考え、そこに自分と重なる部分を見出す、みたいな頭を働かせて、普段の生活にフィードバックしたりできるのが映画の良いところの一つだと思いますが、『フォックス・キャッチャー』はその辺りの脳を激しく刺激する作品ですね。富豪と、オリンピックチャンピオンの兄弟。境遇が異なる私たちが何故彼らに感情移入してしまうのか、是非観て確かめていただきたいです。昨日も観直しましたがやっぱり好き。

 

3位『ストレイト・アウタ・コンプトン』

2015年一番最後に観たのがこれです。鑑賞後のガン上がり具合も記憶に新しいので順位も高くなっちゃいます。ギャングスタ・ラップの代表格NWAの伝記ですが、コアなファンも納得、NWA入門編としても素晴らしい出来だと思います。イージー・E、ドクター・ドレー、アイスキューブ、3人の青春映画としても最高です。こういう偏ったジャンルの作品が全米公開当時『ミッション:インポッシブル』を抜いてまさかの全米興収1位になったのは、彼らが80年代後半「FXXX THE POLICE」を製作するに至ったバックボーンが残念ながら未だに社会問題として根強く残っていることがヒットの要因の一つと言えるでしょう。今年のオスカーもそうですよね。「ノミニー全てが白人」たまたまそういうことがあったって可笑しくはないのでは?と思ってましたが、そこを問題提起しなければならない状況っていうのがやばくて、僕が思っている以上に未だに人種差別問題というのは大きな問題としてあるのだな…とか考えました。

いやー、それにしてもドレーが今やアップルの重役になるなんて、誰が予想したでしょうか?なんてこった、ですよね。

 

2位『スターウォーズ フォースの覚醒』

公開1か月前の初回チケット争奪戦では油断して横浜市内のチケットを獲得できず109シネマズ湘南での鑑賞になったことだったり、コスプレイヤーライトセーバーを振り回す上映前の人たちの盛り上がり方だったり、マスコミの過剰ともいえる宣伝具合だったり、場外的なところでも超楽しかったですね。と、こうして振り返って幸せな気持ちになれるのも作品そのものが素晴らしかったからでしょう。

やっぱりep.4~6の要素が盛りだくさんなところが最高なわけだが、この「新しさの前に信頼を回復」的な部分に力を注いだJ.J.の采配は正しい。「ドーハの悲劇」的な扱いをされているプリクエル3部作以降のスターウォーズ・サーガへの不信感の払拭、この一点突破で全てがうまく転がる確信があったのだろう。これだけ旧作ファンを満足させて(a.k.a.甘やかして)くれると、新キャラ達も魅力的に見えるし、現に素晴らしかったですよね。町山智浩さんは「決定的に新しかったのはカイロ・レン、あの中二病っぷりはまさに現代の若者だよね」と仰ってますがまさにその通りで僕もカイロ・レンのぎゃーぎゃーやってるとこを見ながら誰かに似てるって思いました。彼がこれからどうなって行くのかというのが物語の大きなポイントになるでしょう。

レジスタンス側の新キャラ、レイとフィンも良かったなー。惑星ジャクーを脱出するために船を探し「古いのはだめ!なるべく新しいのがいい!」と新しい船を見つけ、乗り込もうとした直前にファースト・オーダー軍が船を爆破。「古くてもしょうがないわ!あれで!」って向かう先に見えるのがミレニアム・ファルコン、そしていい感じの音楽…って…絶対泣きますよ…。

満足感だけではなく、謎や期待をたくさん残しているところも良い。ポスター等で結構な露出具合を見せていて僕も結構期待していたキャプテン・ファズマの活躍は今回ほとんどなし。前述したカイロ・レンも今後どう化けていくか…とか。ところでハン・ソロが叫んだカイロ・レンの本名って「あの人」と同じだけど、何か意味があるんでしょうか?とかとか。いやーep.8楽しみだなー。ライアン・ジョンソン監督、頼むからお願いしますって感じ。

 

1位『マッドマックス 怒りのデス・ロード』

30位あたりから既に最高だの素晴らしいだの言ってるので順位に全く信ぴょう性が無いですが、それでもこれはダントツで1位ですね。長い期間を経ての続編公開という高いハードルを『スターウォーズ』『マッドマックス』の2作は全く異なる方法でクリアしたってろこが興味深い。

正直、スターウォーズにはハッキリとどうすれば成功するかの「答え」がありましたよね。前述したとおり、ファンの不信感の払拭ですよ。いちファンであったJ.J.がメガフォンをとったことは、皮肉にもジョージ・ルーカスが監督をするよりも「答え」に近かったのかもしれないな。

一方マッドマックスは、振るわなかった「サンダードーム(シリーズ3作目)」があるにしろ、もう過去の話で「マッドマックスマッドマックス2→カルト・ムービーの金字塔」としてクラシックになっているし、過去を踏まえた「答え」を探すという行為はジョージ・ミラー監督にはなく、とにかくこの長期間で恐ろしい程にストーリーを練り上げることだけをしたわけです。

例えば、練りに練ったストーリーの中には、フュリオサが大隊長になるまでのストーリーもあるとジョージ・ミラーは言ってますが、本編ではそこは一切無し。でも!終盤でついにイモータンを捉えたフュリオサがイモータンに向かって言った一言。ここは数秒のシーンですが、それだけで僕らが知らないフュリオサの壮絶(であろう)な過去を創造させてくれるんですよね。膨れ上がったストーリーの本質は残したままこれ以上は無理ってところまで洗練させてるっていう…。

そして「見たことが無いものを見た」という感覚。これが一番大きいです。挙げるときりがないし、未だに(DVDで)観るたびに新しい発見があるのですが、一つ挙げてみると、この作品は同時進行で色んなことが起こってるんですよね…

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走行中の車上で敵に付けられた↑の口枷を外そうとマックスはヤスリを見つけてゴシゴシし始めるのですが、それと並行して周りではどんどん状況が緊迫してるんです。ゴシゴシしながらも敵を倒したり、仲間を助けたり…結構長い時間ゴシゴシするんですがその違和感が面白かったりするんですよねー(字で書いても面白さ伝わりませんね)。とにかく画面内の情報量とスピード感がすごい。使い倒された「ノンストップ・アクション」という言葉は今後、使いにくくなるでしょうね。

あと、フュリオサの故郷に着いた夜、砂漠を不気味に歩く胴体のみで棒のような手足で四足歩行するあれ、何だろう…。。とか、やっぱりギター男とか、色々気になるんです。

映画秘宝」2015年1位は妥当なのですが、なんと「キネマ旬報」も1位(同作品1位は初めてみたい)。映画批評界の権威側だったキネ旬へのカウンターとして登場した映画秘宝が、ここ何年かで権威を奪うかという勢いで台頭したことで、キネ旬が歩み寄ったという見方もありますが、僕は『マッド・マックス怒りのデス・ロード』が映画の本質部分で良い作品であるからこその結果だと思います。どんな見方をしたって良いものは良い!っていう。オスカーも獲っちゃえば良いのに。

鑑賞後の俺の感想

 

以上です。

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