shinkato vs. the world

日記とかを不定期に書きます。

『マッドマックス 怒りのデス・ロード』

2015/6/24(Wed)@109シネマズ川崎(3D/IMAX)

<スタッフ>
 監督・・・ジョージ・ミラー
 脚本・・・ジョージ・ミラー 、 ブレンダン・マッカーシー 、 ニック・ラソウリス
 エグゼクティブプロデューサー・・・ブルース・バーマン 、 グラハム・バーク 、 イエン・スミス
 プロデューサー・・・ジョージ・ミラー 、 ダグ・ミッチェル
 撮影・・・ジョン・シール
 プロダクション・デザイン・・・コリン・ギブソン
 音楽・・・ジャンキー・エックスエル
 編集・・・ジェイソン・バランタイン 、 マーガレット・シクセル
 衣裳デザイン・・・ジェニー・ビーヴァン

<キャスト>
 マックス・ロカタンスキー・・・トム・ハーディ
 インペラトル・フリオサ・・・シャーリーズ・セロン
 ニュークス・・・ニコラス・ホルト
 スプレンディッド・・・ロージー・ハンティントン=ホワイトリ
 トースト・・・ゾーイ・クラヴィッツ
 カパーブル・・・ライリー・キーオ
 リクトュス・エレクトス・・・ネイサン・ジョーンズ
 ワルキューレ・・・メーガン・ゲイル
 イモータン・ジョー・・・ヒュー・キース・バーン
 シルト・・・ジョシュ・ヘルマン

<公式サイト>

 http://wwws.warnerbros.co.jp/madmaxfuryroad/

<あらすじ>

 石油も水も尽きかけた世界。元警官のマックス(トム・ハーディ)は、愛する者を奪われ、本能だけで生き長らえていた。資源を独占し、恐怖と暴力で民衆を支配するジョーの軍団に捕えられた彼は、ジョーに囚われた女たち“ワイブズ”を率いて反逆を企てるフュリオサ(シャーリーズ・セロン)、全身白塗りの男ニュークス(ニコラス・ホルト)と共に、自由への逃走を開始する。凄まじい追跡、炸裂するバトル……。絶体絶命のピンチを迎えた時、マックスと仲間たちの決死の反撃が始まる!(Movie Walkerより抜粋)

 

予告編。映画秘宝アートディレクター高橋ヨシキ氏は「今年観た映像の中でもっとも魂が揺さぶられた数分間だった」というコメントを添えて、なんと予告編のみで昨年(2014)の年間ベストにワンに選出してます!

(10点)

  また10点ですよ(笑)。この映画、全編カーアクションと言える勢いで、セリフが超少ないのですが、それと同様にこの映画の内容を言葉で表現することはなかなかできないですね。いいから身体を動かせ(観に行け)、そして興奮しろってことだと思います。

僕らの世代は・・・

 『マッドマックス』世代は僕(1976生)よりちょっと上ですよね。そして僕らは『北斗の拳』世代。僕は『北斗の拳』を知っている状態で00年くらいにマッドマックスシリーズを初めて観たわけです。これは『海街Diary』の時に書かせてもらったネガティブイメージの代名詞「漫画の実写化」に近い感覚、つまり怖いもの見たさでレンタル屋で手にとって観たわけですが、まあ興奮しましたよね。しかもその当時で約20年経っていたにも関わらず全く古く感じないっていう・・・。

直撃世代は・・・

 それから更に時間が経過し、「1」公開の79年から約35年。ここで直撃世代の心境が生々しく表現された浅草キッド玉袋筋太郎さんのコメントを紹介しますね。

「イモータン・ジョーってヒューマンガス様ほどのカリスマ性あるのかよ?」「予告編でインターセプター転がってたけど大丈夫か?」「絶対に『マッドマックス2』を超えることは不可能だ!」「なんで日本版吹替をあいつがやるんだ!」などなど、公開前からオレたちの期待と不安を煽りまくりの待ちに待ちすぎていた最新作!そんな不安を肴に宇多丸氏と酒を呑んでいた。そこに高橋ヨシキさんが合流し、オレは不安をヨシキ氏にぶつけた。するとヨシキさんはそのときはまだ本作を観ていない状況にもかかわらず、「絶対大丈夫だ」とキッパリ!

 そのひとことで不安から解放されたが、まだどこかに不安があり、それが的中し、映画の帰り道が「怒りのデス・ロード」になるのがいちばん怖かった。

 そんな不安を乗せたインターセプター発信!結果は・・・

(映画秘宝7月号より抜粋)

 楽しそう。30年以上待ってるわけですからね!どれだけハードルが上がってるんでしょうか(笑)。

 

 そんなわけであらゆる世代の期待と不安を乗せてついに発進した『怒りのデス・ロード』は一部のコアなファンだけが喜ぶ映画だったり、コアなファンはガッカリしたが一般層でヒットした、みたいに戦略的なものは一切なし。全ての人がシリーズ最高、いや映画史上最高に「マッド(狂ってる)」と思うであろう作品でしたよ!

 

「悪ノリクリエイティビティ」の最前線

 例えば、これが下手な映画だったら冒頭に「まだ、文明が繁栄し、国家が存在した頃、国同士で石油や水を巡る争いが起こり、核戦争へと発展してしまった・・・。その結果、荒れ果てた大地は、自然を奪っただけでなく、わずかに生き延びた人々から慈悲や他人を思いやる心を奪い去ってしまった・・・」みたいな状況説明をテロップ表示(たちが悪いとナレーションもかぶせたり)するでしょう。この導入場面、ジョージ・ミラーは以下で表現してます。

 

ー何処までも続く荒れ果てた大地が映しだされ、そこに1台の車(インターセプター)、横にマックスが背中を向けて立っている。フレーム手前にトカゲより少し大きめの爬虫類が現れる。その爬虫類は胴体はひとつで首から上が2つに分かれている。その爬虫類が素早く移動しはじめ、マックスの足元へ。それに気付いたマックスはすかさずその爬虫類を手づかみで捕らえた次の瞬間、口の中へ(パクッといっちゃう)ー

 

 ・・・。エグい!相当!ただですね、この冒頭1分にも満たないシーンで観客は「ただ事じゃない状況」を瞬時に把握し、映画の世界観にドップリ浸かっちゃうわけです。

 「スマートさ」「ユニークさ」「クリエイティビティ」そして「男の子の好きそうなこと(モノ)」で構成されたマッドマックスシリーズの世界観、この冒頭シーンをつかみとして、今回はどの過去作よりも更にグレードアップしていると断言して良いでしょう。ほとんどカーバトルシーンのみで構成された映画なのに次々を新しい「殺し方」や「逃げ方」つまり「サバイブ術」が出てきてアイデアが全く尽きないんです。もうひとつだけ「笑ってしまうくらいの狂気部門」からひとつご紹介すると・・・

はい、この人、ギター弾いてます。「なんで????」いや、理由とか良いんですよ別に。かっこいいでしょ。バカバカしくて笑けてきますが、彼の名は「ドゥーフ・ウォリアー」。イモータン軍団専属バンドのリーダーで盲目のギタリストです。車輛には、現存する最後のマーシャルスピーカーが積まれています!敵を威圧し、ウォー・ボーイズを爆音ロックで煽りまくる戦意高揚専用マシン。最高じゃないですか。因みに全編において音楽担当はジャンキーXL!これも間違いないです。

 そして目ん玉サブリミナル的なやつに代表される、セルフオマージュも満載!個人的には『サンダードーム』に出てきた画期的に小さい奴(マスターブラスターの頭)を思わせる奴の登場がやばかったです。サンダードームを観て以来、トラウマだったので。あー楽しい楽しい。ちょっとわかんないのが、あのベビーパウダーは何なんですかね?ベビーパウダーじゃなくてマリファナ的なもの?

 

フュリオサの「希望」の物語。マックスは・・・

「フュリオサにはかなり長いバックストーリーがある。いや、それぞれの登場人物だけじゃなくて、それぞれの車輛についてもね。この映画の実現にあまりにも長い時間がかかったので、バックストーリーをたっぷり作って、別の脚本まで書いてしまったほどだ」-ジョージ・ミラーー

 

「この映画には台詞がほとんどないので、主人公たちに共感できなければ、カーチェイスだけの映画になってしまう危険があったの。それぞれのキャラクターの動機が理解できてこそ、観客は応援することができる。だから演技をする時は常にフュリオサの動機を考えたの。」ーシャーリーズ・セロン

(劇場プログラムより抜粋)

  別々に行われたであろうこのインタビューで2人の思いががっちりリンクしている。これは映画成功の要因のひとつでしょうね。フュリオサの過去に何があったのか、ジョージ・ミラーが時間をかけて書いたバックストーリーを本編に盛り込むことなく、シャーリーズ・セロンは少ない台詞で彼女の過去を踏まえた形でまさに「体現」しています。。クライマックス、フュリオサがイモータン・ジョーへ放ったあの一言、本当に痺れました!シャーリーズ・セロンの個性的なフィルモグラフィー、ここにきて更に輝かしい更新ですね。

 因みにマックスさんは「普通の人」でしたね(笑)。まあ、それもこの際良いですよ。ジョージ・ミラー監督ありがとう!「マッドマックス世代」の一員に僕もなれたってことですね!やったー!

 

<参考> 

・劇場プログラム

映画秘宝 2015年 07 月号 [雑誌]

映画秘宝 2015年 07 月号 [雑誌]