「<映画秘宝>激動の20年」
一気に読んじゃいました。
創刊20周年を迎えた映画秘宝のメモリアルブック 。僕が映画秘宝をはじめて読んだのは当時大好きだった松本人志(今も好きですが)がついに第一回監督作品を発表し、これ以上ないくらいの期待をして新百合ヶ丘のワーナーマイカル(確か)で鑑賞し、上映直後にぽかんとどこかに穴があいた頃だったと思います。表紙のギトギト加減に惹かれて手にとってみたのですが、とにかく文章が面白くて、下手したら映画のレビューの面白さがその映画を超えてしまってるっていう熱量ある文章に感動し「なんで今まで知らなかったんだろう」と後悔するくらいでした。
それ以降、僕の映画を観る基準はほぼ映画秘宝に準ずるようになっていったわけです。それまでは、テレビや映画情報サイトをさらっとみて、好きな俳優が出演してるものを観たりしていたわけですが、秘宝以降で大きく変わったのは、好きな監督を見つけてその人の作品を観るという形に変わっていきましたね。秘宝と出会わなければ『ホット・ファズ 俺たちスーパー・ポリスメン！』も『アポカリプト』も『殺人の追憶』も観てなかったかと思うと、背筋が凍ります！
そんな映画秘宝の創刊から20年を総まとめ。歴代ベスト／トホホ10や過去の貴重なインタビューを再録しており、資料としてもかなり価値のあるものになっています。そしてその時間軸に沿って映画秘宝周辺で起こった出来ごとが語られるのですが、これが本当に面白いです！映画が死ぬほど好きな人たちが自分たちの表現を勝ち取るために戦う日々の記録は読んでて本当に胸が熱くなります！そして、やはり僕は映画秘宝創始者で現在は映画評論家の町山智弘さんが大好きなので、この人の武勇伝の数々がたまりませんでしたね。
怒られるかもしれませんが、印象に残ったトピックを少し紹介させてください。
「全部思い出せ！」
「今の世の中、クズな映画をイバッた映画評論家が多すぎる！こんな世界はみんなぶっ壊せ！」そんな思いで生まれた映画秘宝の 創刊第5号『夕焼けTV番町』目玉のインタビューは佐々木守。ホテルで取材が行われ、2時間近くの収録を終えライターはテレコを持って帰宅。編集部で「緊張したなあ」などと話していると電話が鳴った。「さっきの佐々木さんのインタビュー、テレコが壊れていて何も録音されてませんでした！」ライターの声は震えていた。エラいことになった。すかさず町山が言った「お前、取材の時にメモとっていただろ。それをもとに話を全部思い出せ！」必死になって「たしか、こんな話をしていた」と書き出したものをライターに転送。それをもとに記事を作って佐々木守にチェックを出したら、あら不思議なことに直しはほとんどなかったとさ。
このエピソード、かなり好きです。極限の集中力の中での作業であることがビシビシ伝わってきますよね。
「スタローンインタビュー」
『＜この世界で平和とはアクシデントだ。不自然な状態だ。戦争こそが自然なんだ。年寄りどもが戦争を始め、戦うのは若者で、勝者はいない。その中間にいるものはみんな死ぬ。あきらめて帰れ！＞これはもちろん、イラク戦争で若者たちが死んでいることを言ってるんだが、ちょっと考えてこのセリフはばっさりカットした。だって、ランボーにこんな難しいことが言えるはずないって！(爆笑)残ったセリフは＜帰れ！＞の一言さ(笑)』
本人同様、爆笑ですよこれはｗｗランボーは「素」だと思ってたけどやっぱり、スタローンは監督としてもちゃんと考えてるんだね！
「究極 vs 至高」
某ロック雑誌系列のグラビア誌が中身スッカスカの「究極のロック映画」特集を組んだことに町山智弘がキレ、「向こうが究極なら、こっちは至高のロック映画特集だ！」と提案。かくして11月発売の1月号で「至高のロック映画69」を特集。
(笑)一般的にはキレて終わりでしょう。反撃の仕方の発想がかわいいですが、実行力が半端ないです。
とか。面白いでしょ！こんなのがいっぱいの本ですよ！映画秘宝アートディレクター高橋ヨシキさんが勝手に作ったキル・ビル日本版ポスターをタランティーに渡した時の話もありますし！
もう一個だけ。冒頭のFBBセッションで、映画Tシャツの話題になり・・
町山「大丈夫、映画のタイトルさえ書かなきゃイイから！よし、これからは映画の名セリフTシャツ作って暮らそう！まずは<ルーク、アイ・アム・ユア・ファーザー！>からだ！」
柳下「また(20世紀FOX)出入り禁止だよ！」
‥というやりとりがありましたが、先日、ユニクロでそんなTシャツを見た気がします！ユニクロはちゃんと許可をとってやってるでしょうが(笑)。
あ！これですこれ！ネタバレ全開Tシャツ！「I」がライトセーバーだし！超ウケます！
