shinkato vs. the world

日記とかを不定期に書きます。

RHYMESTER『Bitter,Sweet & Beautiful』

先日、ガステーブル購入の話をしましたが、お伝えしておきたいことがもう一つありました。ヤマダ電機の女性店員がやたら色々教えてくれる人だったのですがその方の情報です。

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彼女曰く!「私的にはリンナイがお勧めです。リンナイは、こういう感じで出火口の溝が無くて掃除が楽なんです」これで僕はリンナイに決めました。彼女は某パロ○社製と比較してましたね。

 

ところで『Bitter,Sweet & Beautiful』買いましたよ!結構前ですが。 

 

ノイジーを追求した前作『ザーティ・サイエンス』後のメンバーミーティングで「次はグットミュージック」と話していたという本人たちだが、そのモードは結果的に新規顧客にも受け入れやすい作品となることを後押ししたと思います。それでいて自らが四半世紀かけて作り上げてきた日本語ラップの軸をぶらさない(故に今までのファンを裏切らない)。ギリギリのところまで攻めた傑作だと思います!全曲コメントいってみようと思います!

 

「フットステップス・イン・ザ・ダーク」

最後に笑えるならそれで良いではないか。だが、その為には今、この一瞬すら決して無駄に出来ない。この、わかっちゃいるけど日々の生活では中々意識するのが難しい教訓。それを映画の撮影手法や用語を引用することで、より掘り下げた形で提示する宇多丸バースが素晴らしいと思います。そして「いずれにせよバトンは握ったままさ」というMummy-Dのフレーズにおじさん的には痺れますよほんと!

 

「Still Changing」

先行シングルとしてリリースされたこの曲がやはり僕は一番すごいと思いましたね。ビクターというメジャーレーベルに移籍して1発目、普通に考えて最も避けたいのはセルアウト(売れること優先)呼ばわりされることだと思うのですが、プロデューサーBACHLOGICのトラックは他の曲と比べても圧倒的にキャッチー。つまりかなりリスキーなわけですが、そこに相変わらずな「ライムス的普遍的リリック」を乗せることでちゃんとケミストリー生まれてます。そしてサビ、メロディーを付与したら歌い上げることが出来そうなゆったりした譜割に決して言葉を詰め込まない、針の穴を通すようなフロウ。活動休止明けの「ONCE AGAIN」を彷彿させる「またやるぞー!」の宣言的な曲になってます。

 

「Kids In The Park feat.PUNPEE」

PUNPEEはこのアルバムで5曲もプロディースしてますね。レッドブルのCMかっこいいなと思ってましたが、やはりライムスは目を付けていたのでしょう。PUNPEEの自信作という軽快なトラックとリリックがピッタリで気持ち良いですね。子供が公園に行ってはしゃぐことが大人にとっては会社帰りに飲みに行くことだったりして、僕らは結局、ずーっと同じなのではないかと。大人になったってよく学びよく遊べっていう。

 

「ペインキラー」

KREVAプロディース。プロディースの手法を勝手に想像して、勝手に「さすが!」と唸りました(笑)間違ってるかもしれませんが。「用量 使用法によく注意・・・」冒頭でこの曲のテーマを示すことで、宇多丸Mummy-d両バースに統一感が生まれていますよね。「誰でも分かるような言葉でラップする」という武器(今となっては意識ではなくそう呼ぶほうがしっくりくる)を持つKREVAが現在のライムスのモードとリンクしている気がしました。KREVAは自身の曲ではサビにメロディーを乗せることが結構ありますがこの曲は全編ラップ。但し、サビの最後、唯一節回し的な「ディ~ラ~」ってメロディーがあるとこ(Mummy-dかな)、ここがあるだけで、突きぬけたグットミュージックに仕上がるっていう神業。

 

「SOMINSAI feat.PUNPEE」 

『THE R』のツアーで既にやってたので早い段階で出来た曲なんですね。だから日本語ラップって最高なんですよね。こんなことまで歌えちゃうんだから。僕の地元にもバッチリ当てはまるSOMINSAIがありますよ(笑)。本アルバムの中では一番ライブで盛り上がる曲でしょう。 映画『ウッジョブ神去なあなあ日常』の世界観です。

 

「モノンクル」

以前、キラキラで宇多丸師匠が北杜夫の絵本『ぼくのおじさん』を紹介しながら、「おじさん」の必要性、素晴らしさを熱く語っているのを聞いたことがありますが、この曲の宇多丸バースはそれそのまんまです(笑)。最高に面白いんですよね。この話(ラップ)、かなり好きです。

 

ガラパゴス

<悲しいかな、どんなに頑張っても日本で生まれ育った人がヒップホップをやるとどこか違和感がある>・・・という某有名陸上選手の残念なtweetに対し、宇多丸師匠はラジオを通じて即座にアンサーしたわけですが、その決定版がこの曲の宇多丸バースですね。まあ圧倒的な説得力ですよほんと。

 

 「The X-Day」

Mummy-Dプロディース。個人だったり組織だったり国だったりの「正しさ」は一方では悪となりかねないという必然。いっそ地球にエイリアンでも襲ってきたら一つにまとまるんじゃないか?っていう皮肉まじりの曲ですが、まさかの‥、いや、ここしかないというタイミングで宇多丸の「ビル・プルマンの演説通りその日が人類の独立記念日」というパンチラインはさすがとしか言いようがないですよ。

 

「Beautiful」

インスト部分が、アルバム冒頭とインタールードに使われていますが、それによってこのアルバムがより重厚な印象を与えていると思います。かつて描いたいくつもの夢に、年月を重ねることでどう向き合うか。その答えは・・・。終始一貫してライムスが歌い続けていることだと思いますが、トラックのせいでしょうか、より重く響きます。Mummy-Dはここぞというときは韻の縛りを意図的に解放し、考え抜かれた「ここでいうべきこと」を寸分のズレなく放つ。という印象を『マニフェスト』以降特に感じていますが、このアルバムではこの曲にそれを感じましたよ。

 

人間交差点

春に行われた初の主催フェスのタイトルであり、シングルカットもされたこの曲はDJ JINのトラックが最高ですね。おじさんだけどまだまだいけるという部分を出しながらも、次の時代(世代)を意識したフレーズがちょいちょい出てくるのもこのアルバムの特徴ですね。残り時間はないと言いながらも、新しいことにトライし続ける。

 

「サイレント・ナイト」

MC2人の生々しく、私的で、つぶやくような言葉が何故こんなに心をざわつかせるんだろう。音楽ってティーンだけのものじゃない。いくつになっても、その時に語る言葉というものはある。それをこうして音楽で表現している人たちがいるのは本当に心強いです!宇多丸バースは是非「 MASTERオブお家芸 feat.宇多丸」と聴き比べて欲しい。かなり大人になってます!!(笑)Mummy-dのダブルの使い方もほんと好きです。

 

「マイクロフォン」 

「多くの人に届けるにはまず目の前の一人を」からはじまり、実際に届けた彼らが今の景色を見たうえで「より多くの人に届けるためにやはり一人のために」という今までと変わらない決意表明を歌ったと解釈しましたね。バーチャル世界へのアンチを歌いながらも「物陰ではまるで暴君な匿名希望クンにも届くと思いたい」という誠実さ。

 

 

 以上です。捨て曲なし!(使い古され過ぎて全く説得力ない言葉)ビクター移籍後、初アルバムの本作は、今までの「ポップミュージックシーンへのカウンター」としての日本語ラップではなく、シーンの第一線というリングの上に立ち勝負し始めたという印象です。